
任意整理か自己破産か
店を閉める事を決めてから、周囲にどんどん「その事を」伝えていきました。
もう後戻りできない様にしていくには意味があって、中途半端な立ち位置での発言が人を迷わすと思ったからです。
「まじか〜」とか「やっぱりなあ」とか反応は色々でしたが、やがて淡々と伝えていく作業になりました。
「俺は店を閉める。売上不振だから」
最初は言い訳していましたが、何度も言い訳言ってるうち自分でも嫌悪を感じる様になったのです。
ここで、借入金があり事業をやめる時、借入先と今後の返済を話し合わなければなりません。
具体的に4つの方法から1つ選びます。
「任意整理・特定調停・個人再生・自己破産」
私は、各債権者との合意を探る任意整理を選びました。
一番最初に選ぶ方法が任意整理です。
裁判所を利用せず、双方話し合いで合意すればこれで進めます。
「申立要件」というのがあるのですが、簡単に言えば「支払い不能か否か」という事で、私が選んだ理由はコレでした。
つまり「支払う事出来ます」って事です。
結構これでいく人多いかもしれません。
しかし、借入先は貸倒れを防ぐ為必死で、「金額多いしうちから返済してや」「毎月いくら返済できます?」「期間は何ヶ月?」と各々が自分の利益を確保したいのです。
通例かどうかわかりませんが、わたしの場合事業用借入先の2ヶ所を6ヶ月間返済待ってもらいました。
減免措置にはなりませんし、最終的に全額返済をします。
この6ヶ月間で他の借入先を各個撃破しなければならないのです。
こうする事で毎月攻められる敵が少数になり、毎月どうにか持ち堪えられるのです。
しかし、この様な過程を経験すると銀行や政策金融公庫の人間を憎みたくなるのもわからなくもないです。
二番目が特定調停です。
和解合意できない時、ここで初めて裁判所(簡易裁判所)に申立します。
よって、法的性格=調停となります。
「申立要件」=「支払不能のおそれ」となりますが、一定の返済をする事が前提になります。
ここまでが、支払う能力のある人で返済していきたいという人が選ぶ方法です。
また、借り入れ金額もそれ程多く無いと思います。
三番目が個人再生です。
申立先は地方裁判所で、法的性格は裁判所の決定となります。
詳細は選択肢になかったので、私は分かりません。
ただ、次に挙げる「自己破産」との中間にある方法の様な気がします。
借入金総額の5分の1以上の弁済という事は「減免」されるという事です。
住宅も差し押さえにならないそうです。
しかしながら、成立要件は債権者の過半数の同意が有りますから、色々と長引きそうな気がします。
四番目が自己破産です。
有名な言葉ですが、整理結果は破格の「支払い義務免除」です。
個人再生との違いの一つがこれですが、もう一つ差し押さえ禁止財産以外の財産は無くなるという事です。
住宅があった場合、差し押さえられてしまうという点があります。
これも私は選択肢になかったのです。
しかし、特定調停で債権者と合意できなかった場合はこの方法をとっていたと思います。
理由は、これらの決着が長引いて次のステップが踏めないなら「さっさと終わらせたい」からです。
以上の選択肢から私は任意整理を考え、最終的に任意整理を選びました。
「大変だろうけど、借りたものは返す」という考えがあったからです。
私は、その人が後悔しない方法を選ぶのが最適と思います。
ただ、自死するくらいなら自己破産をして債務者から逃げてはどうですか?と思います。
なぜこう思うかというと、過去私の知人が2人金銭問題で自死した経験からそう思っているのです。
しかし、自己破産して「なかった事になる」というのは大間違いで、借金を合法的に踏み倒された側の人達は、苦渋の選択を強いられるのです。
お金を貸すという行為は利息目当てもありますが、商業行為でなければ善意以外はあり得ず、善意の人達を裏切る事になります。
たとえ、銀行など企業であっても痛手になる事は間違いなく、勤めている人達が居て、企業活動の裏には様々な人の生活があるのは間違いありません。
一度決めたら、迷わず進みたいので一気呵成に進めて行きました。
ここでも途中逃げようかと思ったのですが、どんどん進めて行きました。
なぜかというと、この様な状況になったことが無い人が話をしてくる時があったのです。
話を聴いてるうちに「やっぱり自己破産の方が良さそう」とか「お金を損する」とか思ってしまう事があったのです。
実際1000万以上借入金が有りましたから、返済大変なのは承知していましたが、言葉悪いですが他人事の話は迷うだけと私自身は思っています。
それに、他人の意見で上手くいかなかった時にどうすればいいかわかりません。
他人のせいにすると、憎しみや恨みは倍増します。
一方で、自分の決定で間違いがあった時は、自分がバカだったと「後悔だけで」済むのです。
○この時点での失敗○
・法律家に依頼したら人生変わってたかも、
・法律家に依頼してたら養分にされてたかも、
ひと・もの・かねの整理
店の閉店日を決めてから忙しくなります。
終わりを決定した事で、それまでにやってしまわなければならない事の整理を始めました。
2店舗目の失敗以降社員を置いていないので、 パート・アルバイトの方達には知り合いの店を紹介していました。
少し考えたら、廃業する店が紹介するアルバイト先ってどうなのか?と考えました。
相手目線で考えたら、とても滑稽に映ったのです。
「失敗者なのに人の心配をしてるフリして、上から目線ですか?」と、独善的は当然と認識し、それでも考える必要はあると決めて滑稽でもやっておきたい事をやっていきます。
やっぱり自己満足の域です。
紹介された方も迷惑でしかなかったかもしれません。
物の整理には「テナント居抜きの客付に使える物」「処分する物」「売れる物」「今後の生活に使える物」に仕分けしました。
事業用賃貸物件は6ヶ月前解約申し込みが通常で、私の様に撤退時期に迷ってた人はきちんと6ヶ月前に解約申し込みしてないのでした。
ですので、解約申し込み後6ヶ月間は「使用していなくて」も家賃支払い義務が生じるのです。
解決策として、「自分でテナントの客付」をします。
勿論、大家側も家賃収入が途絶えるので必死で探しますが、人をあてにしていとだいたい良い結果は得られないのです。
その為に、設備・什器を残し「内覧者に魅力な点」を説明し、借りてもらうようにするのです。
店の閉店までのカウントダウンが始まると、沢山のお客さんが来てくれたのでした。
最終日を終えて店を閉めると明日は開店しなくても良いのです。
そして一人になる時間が出来ると、経営は孤独に感じてたけど、従業員・取引先・銀行・政策金融公庫・お客さん、いろんな人と繋がってたんだなぁと感じれる様になるのです。
事業経営は社会と密な関係なのに、経営者は孤独を感じてしまう。
不思議な事象だなと思うのでした。
○この時点での失敗○
・失敗者の去り方として、無言を貫いた方が良かったか
・孤独に感じてしまうのは、孤独を好んでいるから
これからどうしようか、
閉店してひと・もの・かねの整理や算段と同時に、今後の住居や仕事を確保しなければいけません。
ここまで、色々な人のお誘いがあるかもしれませんが、私は安易に人にはついて行かずに自分で職探しと住居を決めてから今後を決める事をお勧めします。
なぜか?
「せっかく技術や経験があるのに」と誘ってくださる方いると思いますが、ついて行ったところで「誘った方も」「誘われた方も」思った通りにいかない事が多くあるのです。
その時に住居も仕事も依存していた場合、そこから抜け出るのが大変難しくなります。
ですので、一見助け船のように見える条件でも根掘り葉掘り聞いて吟味した上で、船に乗船する事を怠ってはならないのです。
一度乗船したら、船長の気まぐれで「新潟」の筈が「ハバロフスク」に向かってしまう事も十分あり得ます。
くれぐれも注意して下さい。
そして、元気があれば大概の事は出来るのです。
まずは精神状態を回復する事が大事と思っています。
借金で自死する人は金額の大小ではなく、「孤独感」や「人との関わりが薄かった」から「人間社会への未練が無くなった」という段階を踏んでの事と考えてます。
何かしら執着があれば良いので、金でも何でも執着してみたらいかがでしょうか。
私の場合「実現したい事してない」がそうでした、そこに生への執着がくっ付いてきます。
金を多く集めたいという欲望も付いてきます。
ここまでくると、資本主義社会に対する不満疑問・人間不信など、多くの否定的感情が溜まってると思いますが、それらの言いなりにならないで欲しいと思います。
定型句ですが、人生やりなおしをしようと決意した時から再生は始まります。
負けないで行きましょう。
当時を思い出しながら、文字をタイプしていて感じることがあります。
店を閉めた後に自分は変われたと思ってたけど、根本は変わってないみたいです。
これらは平成29年、2年前の出来事でつい最近ですが、反面もう2年経ったとも考えます。
一度失敗して、冷静にTKCの経営指標データを見れば、利益の出やすい業種や出にくい業種などわかるのです。
なぜ、ラーメン屋だったのか飲食業だったのか北海道だったのかと落とし込んでいくと、今より無知ではあったけど確かに理由はあったんだなぁと思っています。
「理由をつけて正当化」といえばそれまでですが、過去は変わらないから仕方がないのです。
どちらにせよ、一番後悔しない方法を選ぶしかないと思います。
本サイトでは「やり方」「方法」よりも、陥ってしまった時の「気持ちの持ち方」次に訪れる場面と「その際の一手」を主に記載しました。
冒頭に記載してますが、これは「私の正解」であって訪れた方の正解ではありませんが、これから道を辿る方々の救いになれば幸いです。
まとめ
日本では毎年約3,000店のラーメン屋が開業し、
ほぼ同数が廃業します。
○この8年間の失敗○
・日本で資金力ない人が飲食業、ラーメン屋やるのを私は勧めません。